サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

リビングへとは行かずに、キッチンへと向かう。
鍋にスープが作られていたから、せめてスープだけでも温めて口にさせてあげたくて。

IHの電源を入れ、スタートボタンを押し、食器戸棚からスープ用のカップを取り出そうとした、その時。

「……彩葉?」

背後から腹部に腕が回された。

「郁さん不足で倒れそうですっ」
「っ……」
「ご飯食べないと、ダメですか……?」
「俺は構わないけど…。シャワー浴びるか?」

いつからこんな風に甘えられるようになったんだろう?

酔ってる時か、寝ぼけてる時しか甘えない彼女が、さっきからこうして素面なのにポンポンと饒舌に。
あ、違うか。
疲れ切っていて、正気じゃないのかも……。

「おいで」

ふらつく彼女をバスルームへと。

彼女はどんなに疲れていても、執刀した日はシャワーを浴びるというルーティンがある。
感染症がどうのこうのというのではなくて、『気持ちのリセット』だと言っていた。

だから、その大事なルーティンを守ってあげたくて。
医師という厳粛な職業柄、ゲン担ぎは重要だと熟視しているつもりだから。

半分意識を失いかけてるのか。
服を脱がす俺に抵抗する素振りと見せたかと思えば、自らスカートを脱ぎ捨てて。

「彩葉?」
「??……ッ?!!かっ、郁さんっ、リビングで待ってて下さいっ!」

正気を取り戻したらしい。
ドアの外に追い出され、ガチャっと鍵が掛けられた。
美味しい所はこれからだったのに……。

笑みを溢しながら、キッチンへと舞い戻る。

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