サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
黙っていれば文句なしのイケメンだが、この男。
かなり、いや、相当変わっている。
これまでの人生が少し湾曲してしまった事で発症したと言ってもいい『強迫性障害』。
恋人のお陰で少しずつ緩和されつつあるが、仕事オンモードではまだまだ全開と言っていいほど、拘りが強い。
社会人として身だしなみを整えるのは当たり前だが、この男が求めるものはそんな生ぬるいものじゃない。
鬼畜とも思えるほど、異常な拘りがちらほらと垣間見ることが出来る。
出発ゲート前は、機内に乗り込もうとする乗客で溢れ返っている。
そんな乗客を営業スマイルで誘導する財前に、一人の女性が声を掛けて来たのだ。
「鹿児島空港に着いたらレンタカーを借りる手筈になってるんですけど、飛行機を降りてからレンタカー屋さんまでの所要時間って、どれくらいかかりますか?」
「降機後の所要時間ですね?お客様の搭乗券を拝見しても宜しいでしょうか?」
財前は機内へと進む乗客を見守りながら、尋ねて来た女性客の搭乗券を確認する。
乗客の座席位置を確認したのだ。
「失礼ですが、こちらのお荷物以外にお預けになられているお荷物はございますか?」
「あ、いえ、ありませんっ。急な商談で行く予定なので、とんぼ返りで羽田に戻る予定です」
「それでしたら、およそ10分ほどでしょうか?お客様のお座席は前方に位置しており、手荷物のお受け取りも御座いませんので、降機後はそれほどお時間はかからないかと存じます」
「そうなんですね?!ありがとうございますっ」
財前の言葉に安堵した女性は、搭乗予定の列に並ぼうと踵を返した、その時。