サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
あと一週間。
たった一週間我慢すれば、おさらば出来る。
仕方ない、我慢しよう。
「メールチェックしたら打ち合わせするから、先にナースステーションに行ってて」
「は〜い」
彼が医局を出て行ったのを見届け、盛大な溜息が漏れる。
今日も長い一日が始まった。
*
十五時から執刀する手術の打ち合わせを終わらせ、その後に回診をした。
「元宮くん」
「はい」
「今日、ちょっと早めにお昼していいかな?」
「別に構わないですけど」
「十三時に院長に呼ばれてて」
「あぁ~、机にメモがありましたね」
「……ん」
院長からの呼び出しに遅れるわけにはいかない。
だから、前倒しで食事を済ませておきたい。
だってもしかしたら、医療過誤の訴訟だと通告されたら、食事どころではないと思うから。
とはいえ、呼び出し前でも、食事は喉を通りそうにないけど。
回診したものを元宮くんと手分けして電子カルテに入力する。
彼の小気味いいリズミカルな入力音がナースステーションに響く。
「元宮先生」
「はい」
「今夜、みんなで飲みに行きませんか?」
「みんな?」
「うちら看護師と空いてる先生で」
「あぁ~いいですけど、……彩葉先生も一緒なら」
「………え?」
隣りに座る彼と、彼を誘ってる看護師たちの視線が彩葉に集中する。
「彩葉先生~~っ」
「お願いします~~!」
何これ。
二次被害受けてんだけど……。
郁さんは出張で明後日まで不在だし、ずっと誘われ続けてるから、これを機に消化するのも悪くない。
二人きりで飲食するよりましだしね。
「仕事が終わり次第合流ってことでよければ」
「やったぁ~!」
「ありがとうございますっ!」
喜ぶ看護師たちを横目に捉えながら入力を再開させると。
「俺の誘い、あんなに拒絶してたのに」