サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

自宅玄関に到着した財前。
早く帰宅することを内緒にしていたこともあり、インターホンを鳴らさずに静かにドアを開ける。

玄関の中へ入ると、中から楽しそうな声が漏れて来た。
その声の方へと静かに足を進める。

彩葉はキッチンで夕食を作っているようだ。

「違う違う、そうじゃなくて。……バーベキューなら何でもいいんじゃなくて、シーフードが好きだから、魚介類メインのなんだってばっ!」

彩葉はブルートゥースで誰かと会話中のようだ。
鍋に入った汁っぽい物をかき混ぜながら、楽しそうに話してる。

「別にお揃いじゃなくてもいいけど、旅の記念にもなるしさ~。ちゃんと毎日好きって言ってよ?……出し惜しみしたら……」

彼女の言葉と口調にドキッとした。

『好きって言ってよ?』という言葉が、相手の気持ちに訴えかけるような言い方だった。
それに、『出し惜しみしたら』という言葉は、その先の台詞を匂わせていて、それらが動揺させる原因なのは明らか。

思わず、キッチンの入口で足を止め、盗み聞きしてしまった。

「ちょっと聞いてる?……元宮くんってばっ!」
「へ?」
「ッ?!あっ、郁さんっ!ごめんっ、切るねっ」

彼女の言葉に驚き、手にしている袋が壁にぶつかり、ビニール音が漏れ出してしまった。
俺を見た彼女が慌ただしく電話を切ったのをばっちり視界に捉えながら。

「お帰りなさいっ、早かったんですね。って、何ですかっ、このケーキの多さ!」
「近くに行ったものだから、残りの物を買い占めて来た」
「えぇっ、カッコよすぎますっ」

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