サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
「なんか、今日の朝ご飯、豪勢だな」
「……そうですか?」
「今日、休み?」
「いえ、出勤日ですけど」
「だよな」
彼女の休みは明後日だと聞いている。
一つ上の先輩医師が海外研修から戻り、夜勤日数も減って、仕事量はだいぶ減ったはずだけど。
それでも、緊急オペの要請が入るのは相変わらずで。
救急指定にもなっている病院だから、交通事故などの対応呼び出しが大半だ。
普段はパン派の朝食なのに、今朝は和定食と言えるほどのしっかり朝食がダイニングに並ぶ。
元々朝食は珈琲くらいしか口にしなかった俺だから、軽めの洋食でも十分なんだけど。
さっきからチラチラと視線を向けて来る彼女が少し気になる。
普段なら頬杖をついてじーっと見つめるか、にこにこと笑顔でパンを頬張るか。
それがルーティンのような仕草だったのに。
何故か、十秒に一回程度ちらりと視線を持ち上げ、それ以外は手元に落とすのを繰り返してる。
明らかに挙動不審な彼女を視界に捉え、違和感でしかない。
「何か、言いたい事があるのか?」
「へ?……いえ」
「言いづらいことがあるなら、後でメールでもいいぞ」
「………」
一昨日も『結婚式』の準備を母親に催促され、それを彼女に伝えたばかり。
時間が合う時に、ドレスやブーケのデザインを決めたいらしいと。
その時に、彼女が小さな溜息を漏らしたのを見逃さなかった。
仕事が忙しくて後回しにせざるを得ないのも分かるけど。
結婚式は先延ばしに出来ない。
俺自身が、今すぐにでも結婚したいのに。
「入籍だけ、先にするか?」
「ふぇっ?」
俺の言葉に驚いた彼女は、手にしていた茶碗を落としそうになった。
ビクッと大きく体を跳ねらせ、一瞬だけ視線を俺に寄こしたかと思えば、すぐさま彷徨わせた。
その一連の表情を一瞬たりとも見逃さなかった。