その甘さ、毒牙につき【番外編】
「僕さ、ももが欲しい」
「………へ?」
もも……って、あの『桃』のこと…?
フルーツの……?
いや、でもイントネーションが限りなく私の名前に近かったような…。
いきなり言われたことに頭が追いつかなくて、どんどん変な思考へと寄ってしまう。
「言っとくけど、フルーツじゃないからね」
「っ…!そ、それって…」
「そのままの意味」
「っな、に言って…」
そう言われた途端、顔に熱が集中し始める。
聞き間違いかと思ったのに、肯定されてしまった。