ゼニスブルーの交差点
田中さんは気まずそうだが、笑って見せるとぎこちなく頭を下げられた。
「……上手に話せるか……不安ですが……ありがとうございます」
「畏まらないで、普通に話せたらと思うだけだから」
「……はい」
どうしてこんなことを言うのだろう? という表情だ。
自分と雰囲気が似ているわけじゃない。同じことで笑いそうな感じもしない。
でも、俺と田中さんには“本”という切っても切り離せない、共通の繋がりがある。
──雨の降るとても静かな放課後、俺はこの先とても大事な存在になる人と、生まれて初めて視線を合わせた。