ゼニスブルーの交差点




 そして振り返ると、やはり赤い傘を差したあさなが様子を伺っていて、隣に入れるよう身体を詰めると、あさなも傘を閉じて息苦しい車内に入り、やがて扉は閉まった。

 濡れた前髪に触れようとすると、その動作の中であさなに触れるくらいの近さ。

 こんな状況になったことがなく、ドッドッと鼓動が早くなり焦る。

 身長的に、自分の胸辺りにあさなの顔があるから、この音を聞かれたらどうしよう……と冷や汗が出てしまう。


< 182 / 1,125 >

この作品をシェア

pagetop