ゼニスブルーの交差点





 眼鏡のレンズを通した奥に、大きな瞳が梅雨の合間の太陽の光を反射して淡い茶色に輝いている。

 動いたのは自分の方なのにそれから止まってしまって、目が離せなくなる。

「えっわっ顎クイしてるやばいっ」

 しかしきっとほんの一瞬しか経っていないだろう中で、きっと自分たちに対する女性たちの声が耳に届いてしまい、サッと離れてしまった。

「ねぇあの子、王子様みたい」

 顎クイって……この間教室でクラスメイトが雑誌を広げて話しかけてきたあれだ。

 イメージが蘇り、頭から火が出るような恥ずかしさを感じ、両耳に手を当てる。




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