ゼニスブルーの交差点
すぐにスマホを耳に当てたつばきさんだが、今の状況の流れからちょっと動揺している。
「……あさなちゃん?」
隣にいて会話を聞いてしまうのもな……と思い立ち上がろうとすると、つばきさんが自分の名前を口にした。
甲野君が助けてくれたよって。
「あさなちゃん……私……嬉しかった」
話しながら僅かな嗚咽を漏らすつばきさんが俺を見上げて、柔らかく、優し気に微笑んだ。
「すごく……嬉しかったの」