ゼニスブルーの交差点
日も傾き夕暮れ、バタバタ慌てるように走って二人は現れて、はぁはぁ肩で息をしている中滿さんは、つばきさんを見た途端ギュッと抱きしめてきた。
身長は小さいが細い腕で強い力を込めながら、何も言わずただつばきさんを抱きしめる。
「……あさなちゃん、来てくれてありがとう」
「ううん、良い。そんなの良いんだよ」
怖く見られがちな中滿さんが、目を瞑りながら、つばきさんの背中を優しく撫でている。
「あさなちゃん……ありがとう」
「ありがとうは、こちらこそだよ」
「ずっと……ずっと一緒にいてくれて、ありがとう」
再びグスッと言いながら抱き着くつばきさんの背中を、中滿さんはとても長い時間ゆっくり擦っていた。
同じ中学の朝貴も事実を知っていたらしく、それから四人でいろんなことを話した。
何もできなくて、知らない顔をしてごめん。
謝る朝貴に、つばきさんが慌てたように首を振る。
「合原君……一回だけ……話したことある」
「え、俺と田中が?」