ゼニスブルーの交差点
「泣きたくて泣いたわけじゃないのに、今だって……もう、我慢しないと」
「いや……何も言わないから、振られると思ったよ」
「俺があさなのこと振るって……どう考えてもあり得ないだろ。分からない?」
朝貴が泣いているなんて、あの場で思うわけがなかったし、返事をしてくれないから気持ちは一方的だと思い始めていた。
「……あ、そろそろ、帰った方が良い時間かも……。悪い、途中いろいろあったけど……時間的に、帰れる?」
「うん、一緒に帰ろう」
今度こそスマホで時間を確認をした朝貴が、掌を差し出してきた。
「もう、繋いでもいいだろ」
ギュッと握り返すと、帰りはエレベーターで一階まで降りて、来た道を引き返す。