ゼニスブルーの交差点
「うん、駅に着く頃に迎えに来れるって。一緒に帰ろ」
「ありがとう、お言葉に甘えるね」
金曜日の夜、北の街を通ってくる特急電車にはたくさんの人が乗車していて座る場所はもちろんない。
最後の最後に駆け込んできた派手なおばさん数人に中に追いやられ、再び恐怖の真ん中に立ってしまったが、遠慮なく朝貴の腕を掴んでいれば下車しなくて良い。
身体がすぐ引っ付きそうなくらいの距離にいるのに、心地良くて、嬉しくて、見上げると目が合って微笑まれる。
朝貴と両想い……。
人も多く下車するまでワイワイ話せるような感じではなかったが、気持ちが通じていることに安心感を覚え、今日はぐっすり休めそうだ。