ゼニスブルーの交差点



 地元の駅で電車を降りると、人はポツポツいるがK街の騒がしさに比べると静寂に近い。小さな駅ビルはあるが、今はもう電気が消えている。売店もコンビニもない駅舎、暗いロータリーにタクシーが数台。そして、朝貴のお父さんの車らしい、白い普通車が止まっていた。

 朝貴が後ろのドアを開けてくれると、久しぶりに見るおじちゃんがニカッと音の出るような弾ける笑顔で迎え入れてくれた。

「あさなちゃん、久しぶりだねぇ。綺麗で誰だか分からんかったよ」

「えぇいやいや。お久しぶりです。私まで乗せてもらってすみません」

「ささ、乗りなー」

 私が先に乗ると朝貴が隣に乗ってきて、車がゆっくり走りだす。激しいお姉ちゃんの運転と全然違う、まさに安全運転だ。




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