彼氏がヒミツにする理由
入試に合格して入学手続きも済ませて、あとは入学式を待つだけとなった春休みの日のこと。
俺は母さんからある事実を聞かされた。
“裕司さんの娘さん、晶と同じ高校に入学するらしいわよ”
裕司さんは母の恋人で、苗字は花園。
彼に俺と同い年の娘がいることは俺も知っていた。
まさか同じ高校に入学するとは思いもしなかったけど。
彼女の顔と名前を知ったのは、入学式の日。
花園姓が学年に1人しかいない上に、「花園さん!」と大声で呼ばれていたのを偶然聞いた。
初日にして男女混合の集団を形成したグループの中に花園さんがいて、なんとなく裕司さんに似てるなと思った。
それから1ヶ月もしないうちに、彼女のグループは学年でもっとも目立つ存在になっていて。
このとき初めて、先行きに暗雲が立ちこめるような不安を抱いた。