彼氏がヒミツにする理由

入試に合格して入学手続きも済ませて、あとは入学式を待つだけとなった春休みの日のこと。

俺は母さんからある事実を聞かされた。



裕司(ゆうじ)さんの娘さん、晶と同じ高校に入学するらしいわよ”



裕司さんは母の恋人で、苗字は花園(はなぞの)


彼に俺と同い年の娘がいることは俺も知っていた。

まさか同じ高校に入学するとは思いもしなかったけど。


彼女の顔と名前を知ったのは、入学式の日。

花園姓が学年に1人しかいない上に、「花園さん!」と大声で呼ばれていたのを偶然聞いた。


初日にして男女混合の集団を形成したグループの中に花園さんがいて、なんとなく裕司さんに似てるなと思った。


それから1ヶ月もしないうちに、彼女のグループは学年でもっとも目立つ存在になっていて。

このとき初めて、先行きに暗雲が立ちこめるような不安を抱いた。


< 23 / 43 >

この作品をシェア

pagetop