彼氏がヒミツにする理由

再婚が決まったのは夏頃。


母から恋人の存在をうち明けられた時点で結婚を前提にしたつき合いなのは知っていたから、大して驚かなかったし、むしろ喜ばしかった。

頼りになる男の人が身近にいるのはいいことだと思う。


再婚相手の子どもとして花園さんと顔を合わせることになったのは、再婚が決まって間もなくして。

母さんと裕司さんを交えた4人で会った。


そこで花園さんから提案されたのは。



“学校では他人でいよ。同い年の、しかも血が繋がってない兄妹なんてネタにされそうじゃん”



もちろん承諾。

正直、ほっとした。


花園さんは、いわゆる学校行事で中心にいるタイプの人間。

ひとこと言えば、良くも悪くも全体が動くような無意識の権力を持っている。

彼女の口から俺との関係を話されたら、変に注目を浴びて面倒くさいことになりそうなのは明白だった。


だから安心したんだけど……。




まさかその危惧が、別の形で“問題”を浮き彫りにするなんて──。

< 24 / 43 >

この作品をシェア

pagetop