彼氏がヒミツにする理由
歩きながら、「でも」と春日が話を続けた。
「ほかに本命がいるってセンはなくなったんじゃね?」
「どうして?」
「だってあの態度、どう見たって吉葉が本命じゃん」
「っ、」
「……まぁその代わり、遊びがいるってセンが新たに浮上したけど」
春日が珍しく慰めてくれたと、無駄に感動した気持ちを返してほしい。
わたしは春日の背中にグーパンした。
「いって」
「いらないひとこと!」
またイヤな可能性が浮上してしまった。
そんなわけないと首を振って否定する。
けれど、そのセンが濃厚なできごとが起こってしまう──。