彼氏がヒミツにする理由
それは部活終わりのこと。
話の流れから、女子テニス部5人で夜ご飯を食べることになった。
“最近できたお店で、ボリュームがあるのに安くて。部活終わりにみんなと一緒に行ってみたかったんだ”
とのこと。
わたしたちはわざわざ電車に乗って、人で溢れかえった街に降り立った。
「人多すぎ!」
「ホントにこっちで合ってるの?」
「たぶん合ってる」
仕事終わりのサラリーマンやサークルの集まりらしき大学生、小さい子どもを連れた家族。
もちろん、わたしたちのような高校生もいる。
人でにぎわう街を、マップのナビに案内されるがまま歩く。
若干迷子になっているらしく、ナビ担当の子の足取りは優柔不断。
「あっごめん、通りすぎた。今のところ右だったわ」
「ちょっとしっかりしてよねー」
「ごめんごめん」
引き返して、いま通りすぎたばかりの道を曲がる。