彼氏がヒミツにする理由

「ううん。お疲れ」

「夏見くんも、お疲れさま」



大人っぽくもあり子どものようなあどけなさも残る、その顔にすこしだけ微笑みを浮かべた彼。

名前は夏見晶(なつみあきら)くん。

わたしと同い年の高校1年生。


夏見くんのことは、中学のときから知っている。

一度も同じクラスになったことがなくほとんど接点はなかったけれど、同じ中学校だったから。


夏見くんは中学のときから成績優秀の優等生で、1年生にしてレギュラー入りするほどサッカーがうまく、運動神経も抜群。

おまけに顔もいいから、つけ入る隙がないくらい完璧人間。


だけど、昔から語られている噂が1つある。



“夏見くんは女嫌い”



というもの。


どうしてそんな噂が立ったのかわからないけれど、どうやら夏見くんは女子に冷たいらしい。


そんな夏見くんと、わたし──吉葉天(よしばそら)がおつき合いを始めたのは、今から1週間前のこと。



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