彼氏がヒミツにする理由


「あそこにいるの、花園さんと夏見くんじゃない!?」



ビルの前に立っている2人の男女……確かに花園さんと夏見くんだ。

少し距離があるけれど、見間違うはずがない。

制服もわたしたちと同じもの。



「えぇ!?なんで?あの2人つき合ってるの?」

「夏見くんは女嫌いで彼女いないはずだよね!?」

「でも、花園さんは彼氏いるって言われてるよね。夏見くんの女嫌いも、彼女がいるからだとしたら……」



みんなの一言一言が胸に突き刺さって痛い……。


スマホをいじっていた2人は、同じタイミングで振り返ってビルに入っていった。



「ちょっとショックなんだけどー……」

「夏見くんも所詮は、人気者を選ぶただのイケメンだったわけかー」



どうして?としか考えられなかった。


あまりにショックで。

声が失われたみたいになにも言えず、呆然とするしかなかった。



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