彼氏がヒミツにする理由
それから2、3分くらいして夏見くんが来た。
「部活お疲れさま。前髪立ってるよ」
「……ホントだ。最近、俺の方が終わるの遅いね」
前髪を直しながら言う夏見くん。
走ってきてくれたのがわかって、わたしはつい微笑みをこぼした。
「あれ?吉葉さん、コーヒーにしたの?」
「うん。ちょっと挑戦」
「そっか」
夏見くんはいつも通りホットコーヒーを注文。
「なにか食べる?」
「……その前に、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「うん。なに?」
喉を潤すためにコーヒーを一口入れようかと思ったけれど、そのまま聞きたいことも飲みこんでしまいそうだったからやめた。
「夏見くんは、花園さんとつき合ってるの?」
遠回しに聞こうとすればするほど本題から外れてしまいそうだから、単刀直入に口にした。