彼氏がヒミツにする理由
「わたしの勘違い……だったんだね」
「俺が勘違いさせた。ごめん」
「ううん」
話を聞いてだいたいわかった。
夏見くんが秘密にしたかった理由。
「つき合ってるのを秘密にしたいのは、花園さんに知られたくないから?」
夏見くんは首を縦に振った。
「花園さんってすごいおしゃべりなんだよね」
「そうなの?」
と相槌を打ったけれど、すぐに『あぁそうかも』と納得した。
“花園さんから聞いたんだけど……”
という噂話の導入をよく聞くもん。
「学校のことなんでも親に話すんだよ。俺の学校での噂とかも」
「夏見くんの噂……。成績が常にトップで、運動神経がよくて、かっこいいからすごくモテて──女嫌い?」
「女嫌いなわけじゃないんだけど……。でもそういうのなんでも親に言うから、彼女ができたこともすぐバラされると思ったんだ」
眉を曇らせながら呆れるように言う夏見くん。
わたしは思わず同情して頷いた。