彼氏がヒミツにする理由
ご飯を食べてお店を出たわたしたち。
自然とその手は繋がっていた。
「女嫌いって……どうしてそう言われてるんだろうね?」
帰り道、わたしはさっきの話を思い出して呟いた。
「俺のこと?……なんでだろ。そう言った覚えはないんだけど」
「女の子に冷たいとも言われてるよね。全然そんなことないのに」
よく考えれば不名誉なことだ。
そんな噂を流す人たちに文句を言ってもいいんじゃないかな。
「……そっちは覚えがあるよ」
だけど、夏見くんから返ってきたのは、わたしの意見を否定する言葉だった。
「女子に冷たくしてる自覚はある」
「そうなの?わたしも女子だけど……」
冷たくされた覚えがない。
それどころか、優しくされたことしかない。
夏見くんは、ふっ、と笑みをこぼした。
「吉葉さんは女子だけど、好きな子だから」
「っ、」
「俺は好きな子に優しくしたい」