彼氏がヒミツにする理由
伝えたいと思って「好き」と伝えるのは初めてで、友だちに言うのとは全然違って恥ずかしい。
“伝える”と“言う”みたいに、言葉のニュアンスによって込められた想いが違うのと同じくらい、好きも別物みたいに感じた。
見つめあうわたしたち。
急に夏見くんの顔がぼうっと赤くなった。
ぱっと顔を背ける。
「夏見くん?」
「いや……、うん、……ごめん。嬉しくて……」
嬉しいと言いながら視線を戻した夏見くんは、紅潮した顔に戸惑うような笑みを乗せた。
こんな夏見くんの表情は、つき合っていなければ見れなかったと思う。
「俺も好きだよ」
穏やかに言葉を紡ぎながらも、照れ笑いを浮かべる夏見くん。
きっとわたししか知らない。
わたしだけが知っている彼氏の秘密。
彼氏がヒミツにする理由 〜完〜