消えないもの



「また、本読んでるし!」

「ほんとキモいよね〜」



ケタケタと笑う女子達。


その視線の先には静かに座って、本を読む一人の少女がいた。



自分の事で笑われているのに、気付いているのか、気付いていないのかも分からず、ただ目の前の文字を必死に目で追っていた。



「キャハハ!無反応だし」
「自分がキモいって分かってないんじゃない?」

「ありえる!」



また同じ女子達が無反応を良いことに大声で騒ぎだした。




そんな様子を離れた場所で見ている男に気付くことなく……。




< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop