消えないもの
「また、本読んでるし!」
「ほんとキモいよね〜」
ケタケタと笑う女子達。
その視線の先には静かに座って、本を読む一人の少女がいた。
自分の事で笑われているのに、気付いているのか、気付いていないのかも分からず、ただ目の前の文字を必死に目で追っていた。
「キャハハ!無反応だし」
「自分がキモいって分かってないんじゃない?」
「ありえる!」
また同じ女子達が無反応を良いことに大声で騒ぎだした。
そんな様子を離れた場所で見ている男に気付くことなく……。