極上タラシオトコの本気を引き出す方法
正直まだ結婚はしたくない。
というより、結婚自体したくないけど、これも俺だけが決められることじゃない。
そろそろ家庭に入らないといけない時期が迫っていることももちろん分かっている。
来年度には広瀬記念病院への異動も決まった。
本当にもうそろそろ、俺は父親が決めた広瀬 朔也という像を完成させてしまうんだな。と自分自身を嘲笑った。
そろそろ次のドリンク頼むか。
と思った瞬間に、俺の携帯の着信音が鳴った。
「お電話ですか?どうぞ?」
ずっと話していた葛城さんもさすがにピタッと話を止めて俺の電話を気づかってくれた。
「すみません。ちょっと出てきます」
そう言って店の外に出て、着信画面を見ると、『井口 恭平』と表示されていた。