極上タラシオトコの本気を引き出す方法
実際に莉子の家の玄関に立つと、最後に酔いつぶれて莉子を送った日のことを思い出す。
このプレゼントを手渡ししたとして、
莉子と早川先生が恋人になるのを止めたとして、
その先は俺、どうすんだ?
今のほぼ固まった婚約を破棄する?
これまで親父に逆らったこともなかった俺がそんなこと出来んのか…?
だいたい、早川先生と莉子が付き合わなかったとして、
莉子が俺に気持ちを向けてくれるのは何パーセントだろう。
遊びで会っていたと莉子は思ってるだろうし、そんな最低な男と結婚なんて考えてくれるんだろうか。
玄関のベルに手を触れたまましばらく考えて、俺はそのボタンを押す勇気がなくて、
でも早川先生に莉子を渡したくなくて、
俺は、何も言わずにドアノブにプレゼントを掛けた。
俺からだって気づいてくれ。
そしてもっと俺の事を思い出してくれ。
そんな女々しい気持ちで俺は莉子のマンションを去った。