極上タラシオトコの本気を引き出す方法
例のごとく、また鏡の前で大半の時間を過ごして、広瀬先生がエントランスに着いた連絡をくれてやっと鏡から離れることが出来た。
玄関を出てすぐにタクシーを確認すると、少し小走り気味に近づいた。
タクシー運転手の方が気づいて自動扉を開けてくれたので、一礼して「お疲れ様です〜」と中に入る。
「お疲れ様。
今日も可愛いな、遠藤さん」
私が座ったのを確認してタクシーは「出しますね」と言って進み始めた。
タクシーの中って、どうしてこうもドキドキするんだろう。
後部座席で誰にも見られてない狭い空間で広瀬先生とふたり。
こんな状況にドキドキするんだろうか。
油断したら手が触れ合いそうな距離に心臓の音が車内に響き渡ってるんじゃないかと心配になる。
平常心、平常心!
そう言い聞かせながらも右肩の方に感じる広瀬先生の存在に私の心臓は一生動きっぱなしだった。