弱小流派の陰陽姫【完】
1 弱小流派の陰陽師
私立斎陵(せいりょう)学園。
古い家柄の生徒が多く通うこの学園には、陰陽師二大大家(たいか)のひとつに数えられる、月御門家の現当主が生徒として在籍している。
名を、月御門白桜(つきみかど はくおう)。
眉目秀麗、人柄もよく陰陽師としての腕も超一流の、完璧な当主だ。
そして同じ一年生に、陰陽師としては弱小流派・神崎流の当主の娘、神崎月音(かんざきつきね)がいた。
月音にとって白桜は雲の上の存在だ。
なので今日も、物陰からこっそり白桜をお慕いしまくっている。
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「百合姫(ゆりひめ)、段差気を付けて」
「白桜、そこまで過保護にしなくても大丈夫よ? ここ学校だし」
「学校だからこそだよ。ここは斎陵学園なんだから」
中庭へ向かう道を優雅に歩いているのは、白桜と、その幼馴染と言われている水旧百合緋(みなもと ゆりひ)だ。
茶色が勝った髪と同じ色の瞳、背はすらりと高くスタイルもいい白桜と、小柄で愛らしいを詰め込んだような百合緋は、お似合いの二人だった。
いつも一緒にいて、百合緋は白桜の家で暮らしているというから、内内の白桜の許嫁では? とも言われている。
白桜と百合緋は、月音の推しカップルだった。
「はあ……白桜様も百合緋様も、今日もお美しい……眼福です……」
「つーきねちゃん。なに? また月御門をストーキングしてるの?」
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