【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


俺よりも必死な妃野が不思議だ。



「……わかった」

「そうね。妃野さん持ってきてくれたら助かるわ。お願いできる?」

「はい!」



そこまでしなくていいのに。

頼ってばかりで情けない。



「体育着って、ロッカーに入ってる?」

「あぁ」



そうだ。カギかかってるな。



「うん?」

「……カギ、かかってるから渡すよ」



そう言うと、「そっか!」と納得した妃野。

ポケットからロッカーのカギを出して、揃えて待つ妃野の両手にそっと乗せると……。


俺の指先が妃野の手のひらに触れた。



「っ……!」



反応したのは俺じゃなく、妃野のほう。

嫌だったか?



「ごめん」


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