【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


「う、うん……」



驚かせるつもりはなかった。

嫌がられたのなら、気をつけよう。



「と、とってくるね!」



クルッと体の向きを変えて、妃野は保健室を出た。

逃げるように出て行ったのは気のせい……か?



「ふふっ。青春ね〜」



先生はなぜかニコニコ嬉しそうに笑う。



「そう……ですかね」



妃野がお人好しなだけだと思うけど。

こんなの、青春でもなんでもないだろ。

このときはそう思っていた。



°



「戸松くん、お待たせ……!」



少しして妃野が戻ってきた。


息を整えながら「はい!」と袋に入った体育着を俺に渡してくれる。


走って取りに行ってくれた?


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