【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


「ありがとう、妃野」

「いえ……!」



妃野は任務を達成できて喜んでいるみたいに純粋に笑った。



「妃野さん、ありがとね。戸松くんはここのベッドのカーテン使っていいから、着替えちゃいなさい」

「はい」

「じゃあ、わたしは化学室に行ってるね。ちゃんと体を温めてゆっくり休んでね!」

「おう」



妃野はまたニコッと笑って、「失礼しましたー」と元気に挨拶をしてから保健室をあとにした。

俺のためにやってくれてることなのに、よくずっと笑顔でいられるな。


……俺のため?

別にそういうわけじゃないだろ。


体育着を渡してくれたときにすごい満足そうだったから、妃野の中でも罪悪感は晴れただろうし。


これでお互い様ってことで———。




°



体育着に着替えて化学室に向かった。

そのまま途中参加して授業を受けられたが、放課後に近づくにつれて頭と喉が痛くなってきた。


あー、これ、やばいな。

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