【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
「ん……?」
「戸松くんって、甘いもの好き……?」
首を横に傾げてくりんとした瞳で聞く姿に、胸がドキッと跳ねた。
さっきからいちいち妃野の仕草に反応しすぎだろ。
「……好きだよ」
緩みそうになった口元を隠して答えた。
「ほんと……! 元気になるかなって思って、フルーツゼリー持ってきたんだ」
花が咲くように笑って、手提げのついた小さな紙袋を差し出してくれた。
お見舞いだけじゃなくて、お土産まで持ってきてくれたのか。
「ありがとう。ちょうどお腹空いてた」
「えへへ、よかったぁ」
妃野が笑ってるとつられて俺まで口角が上がりそうになる。
女子と話してそうなったのは初めて。
風邪で辛かったはずなのに、妃野が来てくれてからどっか行った。
妃野がいると、俺の心が温まる。
「そういや、お菓子の持ち主わかった?」