【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


「作る……?」

「例えば、戸松くん!」



こっそり莉恋ちゃんが指をさしたほうに視線を動かすと、学園1の王子様と呼ばれている戸松 悠真(とまつ ゆうま)くんが、ちょうど登校して教室に入ってくるところだった。

あの超クールで、成績もトップで、バレンタインデーにチョコをあげたい人でダントツの戸松くんに……!?



「む、無理だよ! しかも人気の戸松くんになんて……!」

「愛華のなら受け取ってくれると思うけどなぁ? 逆に、たくさんあげる人がいるなら相手にとっても認識されないし、あげるのにちょうどいい」



それはそれで、気持ちのこもってないバレンタインチョコをあげるのは失礼だ。



「わたしは、ちゃんと好きな人にあげたいの……」



気持ちを込めて、プレゼントしたいよ。



「それなら……」

「妃野」



莉恋ちゃんがほかの提案をしてくれるところで、机に影ができた。

低音ボイスで呼ばれたほうを見ると、そこには話題になってた戸松くんが立っていた。


えっ……!



「これ、妃野の?」

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