【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
紙袋に入ったゼリーを見て思い出した。
「あ! うん! 間違えてたこと、ちゃんと伝えたよ」
伝えたんだ。
てか、話したんだ。
どうしてか嬉しそうに話す妃野に胸が痛くなった。
なんだ? このモヤモヤする感じ。
俺から聞いたのに。
「……でも、返しちゃった」
今度は申し訳なさそうに切なく笑った。
「わたしからのバレンタインチョコが欲しかったんだって。義理で男の子にあげるつもりなくて……ね」
それは……嫌だな。
直接渡さず、お返しも欲しいとか。
「そっか」
だけど、それを聞いてどこか安心してる自分がいた。
「本当はね、好きな人にチョコをあげるの憧れるんだ」
今度は頬を赤くして照れたように笑う。
妃野もそういうの憧れてるんだ。
「夢見すぎだから好きな人できないのかな?」