【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
*揺れる気持ち
急いで家に帰ると、玄関ドアの前で大河が座って待っていた。
「遅くなってごめんね。お待たせ!」
「おかえり、姉ちゃん。呼び出してごめん」
申し訳なさそうに立ち上がったのは、わたしの弟の妃野 大河(ひめの たいが)。
2つ年下で、受験の時期の今は図書館に行って勉強をしているんだけど、鍵を忘れて家に入れなかったみたい。
「寒かったでしょ。今開けるね」
玄関のキーをタッチしてロックを解除した。
「呼び出して大丈夫だった?」
「えっ……! だ、大丈夫だよ!」
戸松くんには断りを入れてきた。
あんな形で帰ることになっちゃったのは申し訳なかったけど……。
『バレンタイン、あげたい人がいないなら、俺がもらうよ』
さ、最後に言ってたのってどういう意味なんだろう。
「ねぇ、大河」