【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


「大河! こっちはまだだよ」



苦笑いをして、空気を読んでもらうことを願った。

これ以上は言わないで……!

戸松くんにバレていないか顔を伺ったら、少しムッとした表情で大河を見ていた。


あ、あれ……?

チョコの話題、嫌だったかな……?



「……姉ちゃんの知り合い?」



先に話したのは大河。



「そうだよ。同じクラスの戸松くん」



手のひらを向けて、大河に戸松くんを紹介した。



「こっちは弟の大河。一緒に買い物に来てたの」



戸松くんにも大河を紹介すると、お互いペコッと頭を下げて挨拶をした。



「……弟、だったんだ」



ぽつりと戸松くんが何か言った気がしたけど、よく聞こえなかった。



「うん?」

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