【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
*もっと、一緒にいたい
たまたま出かけたお店で妃野と会った。
そこで妃野は……チョコを手に取っていた。
あれはバレンタイン用?
だとしたら、誰にあげるんだろう。
まさか、本当に作ってくれるとか……?
それは考えすぎか。
妃野に異性の仲のいいヤツがいると知ってから気持ちが落ち着かなくなるのがヤキモチだと気づいてしまったけど、相手は弟でよかった。
安心しすぎてそのことが口に出ていたらしく、妃野に聞かれるところだった。
……それくらい、俺の中で妃野の存在が大きくなっていた。
「つ……くん……戸松くん!」
どこからか俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
ハッと我に返って前を見ると、妃野が心配そうに立っていた。
「移動教室だよ? あと教室に残ってるの戸松くんだけっ」