【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
周りを見渡すと、教室には妃野と俺しかいなかった。
「……ありがと」
俺が授業に遅れるから声をかけてくれたのか。
妃野はお人好しすぎるくらい優しいな。
俺にも、先生にも、家族にも。
妃野といると、心が穏やかになる。
ずっと笑っててほしいし、笑顔にしてやりたい。
もしかして、この感情は恋ってやつ?
そうだとしたら、俺は妃野が好きだ。
〝チョコをあげたい人がいないなら俺がもらう〟と言ったけど、妃野が作ってくれるチョコが欲しい。
ほかのヤツに渡してほしくない。
チョコだけじゃないな。
一生懸命なところも、
楽しそうに笑ってるところも、
心配そうに見つめる瞳も。
ぜんぶ、俺だけのものにしたい。