【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。


「っ……! う、うん」



驚いたけど、オッケーをもらえた。

頬を赤らめるから、ちょっと期待してしまいそう。


妃野がリュックを背負ったのを確認して、教室を出た。

ふたりで歩いていれば周りから視線を浴びるけど、気にならなかった。


ウワサなら勝手にすればいい。

妃野が嫌なら……別だけど。


横目で見ると、体を小さくして歩いていた。


こういうの……苦手だよな。



「行こ」

「えっ……きゃあっ」



妃野の手を取って廊下を走った。

離さないように妃野もぎゅっと握り返してくれる。


この小さな手も、妃野も、俺が守ってやりたい。

彼女になったら、堂々としていられるのに。


昇降口について手を離した。

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