【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
ぬくもりが消えて、隣にいるのに寂しくなる。
「手、ごめん」
「ううん。すごい注目浴びてたから、どうしようかと思った。連れ出してくれてありがとう」
お礼を言われると思わなくて驚いた。
どんな小さなことも感謝を伝える妃野の心は、本当に綺麗だ。
「あぁ」
好きな人の言葉がこんなに嬉しいなんて。
うまく返事ができなくなる。
校舎を出て少ししたら、妃野が口を開いた。
「この前さ、名前で呼ばれたときはびっくりしたよ。わたしの名前知ってたんだね」
買い物で会ったときか。
それは……もちろん。
「弟といたから。名字で呼んだら、どっちもに言うことになると思って」