【短】甘いチョコにとびきりの愛を込めて。
そう言って、悠真くんはわたしの手を引いて教室を出た。
小走りで廊下を通ってもドキドキはおさまらない。
だ、誰にもって……。
〝愛華のチョコは〟ってことだよね?
わたしもあげるのは悠真くんだけのつもりだけど、あんな堂々と言われたら勘違いしそうになる。
今日もズルいよ……っ。
階段を上って連れられたのは屋上だった。
足を止めても手は繋がったまま。
「ありがとう、悠真くん」
「愛華が困ってたら、助けないわけにはいかない」
悠真くんはいつもヒーローみたい。
たくさんの女の子に囲まれてたはずなのに、わたしのことを見つけて連れ出してくれて。
このまま、想いを伝えちゃおうかな……。
登校したままリュックも置けていないから、チョコも手元にある。
「……悠真くん」