私じゃダメだよ
 「待てよ」

 後ろから、もう聞くことのない声がふりかかる

 泣いてぐちゃぐちゃな顔を下に向け

 力任せに扉を引っ張る

 ふわっ

 扉が開くよりも先に、私の背中が熱を帯びた

 「せん、、、せ、、、い、、、?」

 「待てって言ってるのに出てこうとするから
  こうするしかないだろ」

 先生の声が耳元で囁かれる

 私の体は扉と先生の両腕に囲まれ
 
 身動きが取れない

 体が触れ合う背中が熱い
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