日ごと、君におちて行く。日ごと、あなたに染められる。
午前中の会議を終え、そのままチームメンバーで昼食を取った。
それから帰って来て、華と廊下ですれ違った時だった。
「お疲れ様です」
華が軽く僕に会釈する。他の同僚もいたから、それは完全によそ行きの顔だ。それは分かっている。でも、何かいつもと様子が違うと感じる。
僕の横を通り過ぎて行く華の背中に呼びかけた。
「華」
「……え?」
驚いたように振り向いたその表情。やはり、明らかに顔色が悪い。
「どうした? 調子悪いのか?」
「い、いえ。大丈夫です」
華が僕の後ろにいる同僚たちに視線を向けているのに気付いた。
「ああ、悪い。先に戻っていてください」
同僚や部下たちにそう告げる。
「分かりました」
彼らが立ち去ったのを確認して華の腕を引く。そして、そこにあったカフェテリアのベンチに座らせた。
「顔色が悪いみたいだけど?」
改めて問い掛けると、今度は本当のことを口にした。
「すみません。少し身体がだるくて。でも、早退するほどではないので、大丈夫です。たぶん、季節の変わり目だから調子が出ないだけだと思います」
「本当に?」
青白いその顔に、そっと手のひらを当てる。
少し、熱い気もする。
「はい。本当に無理そうだって思ったら早退しますから。耕一さん、早く戻ってください。午後の仕事始まります」
「ああ。でも、本当に無理するなよ? 何かあったら、遠慮なく僕に言うんだ。いいね?」
「はい」
そう言って笑った顔も、どこか元気がない。
午後もずっと気になっていた。