君が生まれ変わっても
車だって、盗まれた訳ではない。



現世の山の麓の駐車場に停めた車が、異世界で消えているのはなにも不思議な事では無い。



そもそも、世界が違うのだから。






さて、これで全ての謎が解けた。あとはこの状況をどうやって誤魔化すか、だけど………



僕は、ポケットからスマホを取り出し牧村に通話している風を装った。



「もしもし、牧村か?お前さ〜オレの車に乗って帰っただろ?………あ、やっぱりそうか!勘弁してくれよ!オレ、車盗まれたと思って交番来ちゃったよ!じゃあ、車は今そっちにあるんだな?」



携帯でそんな【小芝居】を打ってから、警官に弁解をした。



「お巡りさん、すいません!どうも僕の車、友達が黙って乗って帰っちゃったみたいで、盗まれてなかったみたいです!」


「えっ、何?それじゃ君の勘違いだったの?」



「そのようです。どうもお騒がせしました!」



「まったく人騒がせな話だな!じゃあ、調書は破棄しておくから………気をつけて帰って!」


警官に『お小言』を言われながら、僕は交番を後にした。



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