君が生まれ変わっても
交番を出た僕は、とりあえず近くの公園に行き、ベンチに腰掛けた。


もし、何も知らない人が現世からこの場所に連れてこられたらおそらく気付かないんじゃないか?



そう思う位、現世とこの異世界の佇まいは良く似ていた。


しかし、交番の警官が言っていたように現世の住所は異世界に存在しない………おそらく地名自体が全く違うんだと思う。



そして、ここが異世界だと知った時、僕が一番に考えた事がある。それは………



もしかしたらこの異世界に転生しているかもしれない、詩織の事だ。



詩織が、この世を去ってから十三年………彼女が異世界転生出来たかどうかも分からない。


けれども、もし人間に異世界転生出来たんだったら…………逢いたいよ………お前と逢える事をどんなに夢見た事か………



でも、お前がこっちで誰に異世界転生したのか?それとも異世界転生出来なかったのか?それを知る術は、僕には無いんだ………



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