君が生まれ変わっても
幸運な事に、僕の周りには人の心の痛みや傷を思いやる事の出来る優しい仲間が数多くいた。





僕の同級生で親友でもある『牧村』も、その一人だ。


牧村とは、地元の幼稚園の頃からの腐れ縁なんだけど………照れ臭くてこんな事、決して本人を目の前しては言えないが、牧村には本当に感謝している。



あの事故の後、自暴自棄になっていた僕に辛抱強く最後まで寄り添ってくれたのが牧村だった。



「遥人、お前今は詩織ちゃんの事考える暇が無い位とにかく仕事してろ!」



そう言って、牧村は畑違いの僕の仕事の営業を自ら進んでやってくれた。



自分だって、それなりに大変な時期だっただろうに、そんな苦労は少しも顔に出す事も無く、あいつはいつも明るい笑顔で僕に接してくれる………牧村のそんなさりげない優しさに、僕は何度も救われた。




最近では、その牧村と共に過ごす事が多くなって、今日も仕事終わりに近所の居酒屋で二人飲んでいた………



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