君が生まれ変わっても
「なぁ遥人、お前『異世界』って知ってるか?」



突然、牧村にそう訊かれた。



「ああ、『異世界』ってあれだろ?ファンタジー小説とかに出てくる………」



「そう、それ。主人公の女性が不慮の事故で亡くなるんだけど、その後異世界転生して王国のお姫様になり、王子の溺愛を受けて無事結婚していつまでも幸せに暮らしましたとさ。………みたいな」



牧村はそこまで言うと、何かを思い出したように口に掌を当てて『ヤバイ』という様な顔をした。




「ゴメン………もしかして、俺今、『地雷』踏んじゃった………?』



牧村は申し訳無さそうに謝るが、もうそれを気にする程僕は弱くは無かった。



「気にするなよ。もう、そういうの気にする時期はとっくに過ぎてるから。俺だって、詩織がその小説みたいに『お姫様』に異世界転生して幸せに暮らせたらいいと思ってるよ」



「けれど、その『お姫様』の結婚相手はお前じゃ無くて異世界の王国の王子なんだぜ?お前はそれでもいいの?」



さっき謝ってきたと思ったら、その次にはこんな意地の悪い質問してくる………
全くこいつの意図はどこにあるんだか………



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