君が生まれ変わっても

もしかして、あれは全部夢だったのか?



僕が詩織に逢いたいと熱望したから、あんな夢を見たのか?



冷静に考えれば、そっちの方が辻褄の合う事が多い。だいたいにして、荒唐無稽な話だったんだ。


僕は半分……いや、半分以上諦めてしまっていた。牧村の言う通り、夢だったのだ………


そう思い、ベッドから身を起こし僕は何げ無しにポケットに手を突っ込んだ。


「あれ?なんだ、これ」



指先に触れた物を掴み、それをベッドの上に置いた。








限定の青色、安産祈願の御守り。



思い出した。この御守りを美咲ちゃんから受け取った時、僕は興奮のあまりそれを美咲ちゃんに返すのを忘れていたんだ。



これが何よりの証拠だ。たとえ世界中の誰も信じてくれなくても、この御守りがそれを証明してくれる。


あの出来事は、やっぱり夢なんかじゃ無かったんだ!



僕は確かに異世界に行き、詩織は、確かにあの美咲ちゃんに異世界転生したんだ。


よくあるファンタジー小説のようにお姫様にはならなかったけれど、生まれ変わった詩織は、間違い無く幸せに暮らしてくれるだろう…………そう、僕は確信していた。



F I N.


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