私が彼の笑顔を見るまで
 一応、蹴り飛ばした一条にも原因がある筈だが、一条にはお咎め無しらしい。
 まぁ……一条もそれを分かった上でやっている事だろうけど。
 俺は、烏丸と一条が比較的親しそうにしているし、折角なので、烏丸に一条の事をお願いしてみる事にした。

 結果、俺は烏丸に脅されるような形になってしまった。彼は俺と理事長の関係も承知の上、俺の実家が烏丸財閥のお世話になっている事も承知していたらしい。
 久し振りに、肝が冷えてしまった。烏丸財閥本家の次男が長男よりも優秀であるという噂はあながち間違いでも無いらしい。烏丸は俺より身長が低いのだが、圧倒的上の立場から見下されるような気持ちになった。烏丸の目には冷酷な光が目立ち、潰すぞと言われた気がした。
 その後の会話から、美堂と朱雀という、日本の財閥の中でも御三家に数えられる家柄が出てきた事で、一条の交友関係の凄さが滲み出る形になった。
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